コロナになって、まったく海外旅行に行けなくなりましたが、かつては、海外旅行が好きでした。
なかでもニューヨークには生まれたばかりの甥っ子が住んでいたので、甥っ子に会いたくてよく通いました。
アメリカに着いたらやること、2つ。
ニューヨークに着くと、私は二つ「スイッチ」を入れていました。
一つは、大きな声で話すスイッチです。
アメリカの人は声が大きい! 日本語と違い、英語は腹式呼吸で、皆お腹から声を出して大声でしゃべります。
お腹に力を入れて腹式呼吸で大きな声で話すと、私の英語もより英語っぽくなって、聞き返されることもない気がします。
そして、もう一つは周囲に対するスイッチです。
普段東京では、街を歩いていても自分の世界に入って、他人に対するスイッチはオフになっていますが、ニューヨークではいつ話しかけらりたり、目を合わせてニッコリ微笑まれたりしてもいいように、周囲に対するスイッチをオンにします。
日本は安全なので、周囲に注意を向けていなくても危険な目に合わないというのも、もしかしたら関係があるかもしれません。
ニューヨーカーはすれ違いざまに他人をほめる
一度、地下鉄の駅の売店で買い物をしていたら、向こうから歩いてきた男の人が、すれ違いざまに”Nice haircut!(髪型いいね!)” と言ってニコッと笑って去っていきました。
私も、ちゃんとニコッと笑って”Thank you.”と返すことができました。
ニューヨークでは、こんなふうに見知らぬ人が普通に声をかけてくるので、周囲へのスイッチを切っていると、コミュニケーションを無視することになってしまいます。
しかし、我ながら、よくこんな対応が即座にできるようになったなぁ、と感慨深いものがありました。
ほめられたらどういう返事をするか
中学生の頃、家族で一時期アメリカに住んでいたことがあります。
その頃、家族で行ったお祭りみたいなところで、通りすがりのお兄さんに、”Nice T-shirt!(いいTシャツだね)”とほめられたことがありました。
その時私は忘れもしませんが、謙遜した表情で”No…”と答えました。日本流に、反射的に「そんなことないです」と言おうとしたのです。
お兄さんは優しい人っぽく、ニコッと笑って去っていきましたが、私はこのやり取りが、いろんな意味での違和感とともにずっと心に残っていました。
まず、急に見知らぬ人にほめられるということに慣れていなかったので、とにかくとても驚きでした。
その後、いろいろ周囲を観察しているうちに、アメリカの人は思ったことをすぐ素直に伝えるのかな、ということや、他人に話しかけるハードルが日本人と比べるとずいぶん低いんじゃないか、ということがわかってきました。
そして、日本語では、ほめられても「いやいや……」とか「ほんと?」とか、とりあえず第一声では謙遜の気持ちを表すのがしっくりくるような気がします。
でもアメリカでは、ほめられたら「ありがとう」というのがしっくりくるのではないかと。
こんな小さなやり取りにも、英語と日本語の言語の違い、アメリカ人と日本人の文化の違いがあるのだなぁと思います。
中学生の時のリベンジを、何十年もたってからニューヨークで果たせた、というお話でした。
ではでは。
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