掛け軸の男雛と女雛の大きさが極端に違う件について

和の心

まだまだ寒さが厳しい毎日ですが、節分を過ぎると、冷たい空気の中にも春の気配が一瞬感じられるようになってきましたね。
こういう季節の変わり目に特に懐かしく思い出されるのが、お茶のお稽古に通っていた時のことです。普段のお稽古の床の間には、書のお軸がかかることが多いのですが、ひな祭りには必ず先生が華やかな男雛と女雛の絵のお軸をかけてくださいました。
素朴ながらも品のある、とても美しい絵でした。
当時独身30代後半で仕事しかしてこなかった私でしたが、毎年このお軸がかかると、しみじみと温かい気持ちになったものです。

雛人形図の美しさと違和感

毎年本当に楽しみで、床の間で拝見できると思わず頬がゆるんでしまうような素敵なお軸でしたが、どうしても小さな違和感がぬぐえませんでした。

  • お雛様が座り姿ではなく立ち姿
  • 男雛が絵の中心、女雛は添え物

現在ポピュラーなお雛様は「座り雛」ですが、これは江戸時代から広まったものだそうです。
それまでは紙で作った「人形(ひとがた)」「形代(かたしろ)」に起源をもつ立ち姿の「立ち雛」が普通だったのだとか。
お稽古場にかけられていたお軸は、この立ち雛の図だったのですね。

もう一つの違和感は、女の子の祭り「桃の節句」のお雛様の図であるにもかかわらず、主人公の女雛よりも男雛のほうが圧倒的に大きく描かれていて、女雛が添え物のように見えたことです。
男雛は両手を大きく広げたりりしい袴姿である一方、女雛は両手を体に巻き付け、こけしのようにほっそりスリムに描かれています。

簡単にはわからない!? 奥深い世界

そもそも「茶道」は現代の価値観など超えた道ですから、先生に「雛祭りの絵なのになぜ男雛のほう女雛より大きいんですか」なんて浅薄な質問はしませんでした。
でもきっと何か歴史的な意味やいきさつがあるんだろうなぁ。
大きな男雛の広げた両腕に女雛が守られているようにも見える構図は、睦まじい夫婦の姿そのものにも見えます。でも、何かもっと深い意味があるような気もします。

季節が巡ってお稽古場でまたこのお軸に再会できると嬉しくて、小さな違和感はその嬉しさにすっかり紛れてゆき、お稽古から離れてしまった今に至るまで解明できていません。
いつか、この違和感を解決できるといいなぁ。

ではでは。

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